2012年5月15日火曜日

公開授業 ニューロンの構造

ニューロン(神経細胞)の構造を授業するときに注意すべきことは「名前が違うところには異なる機能が存在するんだよ」ってことをどれだけ明確に伝えられるかどうかだと思います。

とかく生物の授業では「覚えてしまえばいいんでしょ」ってことが言われますけど、この姿勢は生物学を科学と見なしていない、とても貧弱な思想の表れだと思います。

神経細胞体(樹状突起を含む)、と軸索と、神経終末は、異なる膜タンパク質の作用により異なる機能を有しています。異なる機能があって区別しなきゃいけないから別の名前をつけてんですからね。

神経細胞体:
前シナプスニューロンからの神経伝達物質を受容し電位を発生させます。神経伝達物質のレセプタが化学物質依存型イオンチャンネルとして働き、細胞体全体として複数のシナプスからやってきたシグナルの積分装置として働いています。

軸索:
ナトリウムカリウムポンプ・静止型カリウムチャンネル・電圧依存型ナトリウムチャンネル・電圧依存型カリウムチャンネルなどが存在し、静止電位と活動電位を生じさせることにより、興奮の伝導を行います。

神経終末:
電圧依存型カルシウムイオンチャンネルの存在とカルシウムイオンの流入を引き金としたシナプス小胞からの神経伝達物質の放出を行います。

これらの内容は高校生物のレベルを超えているかもしれませんが、「こういうものなの」「覚えればいいの」に満足できない生徒のために、また、そういう科学的探求心(文科省や教育委員会の喜びそうな言葉だなあ)を持った生徒を作るためにも取り組む必要があると思うよ。

ニューロンの構造について、以上のことを意識して授業をしました。


静止電位と活動電位の発生について授業しました。


授業の中で使っている細胞膜の流動モザイクモデルに関する動画はこちらにあります。


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