2013年1月14日月曜日

高校生物公開授業 解糖系の反応を理解しよう

解糖系の化学反応を理解する事は、生化学反応の巧妙さと不思議さと美しさを学習する上で欠かせないと思います。

でも、教科書読むだけではわからないんだよね。わからない理由は

1.詳細が省かれているために何が起こっているのか見えない
2.解糖系の本質が何なのか明示されていないため、どこまで勉強して良いかわからない

この2点だと思います。

そこで、解説PodCastを2本作りました。

こっちは教科書の内容を大幅に逸脱して解糖系の化学反応を10段階全て解説しています。動画で使っているエクセルシートは公開してあります。

高校生がこれ全てを理解する必要はありません。しかしこの反応の中には、有機物を基質としたリン酸化(リン酸転移)、リン酸移動、異性化、脱リン酸、脱水、脱水素、アルドース開裂など生化学で重要な反応がぎっしり詰まっているのです。もちろん、それぞれの反応には、キナーゼ、ムターゼ、アイソメラーゼ、デヒドロゲナーゼ等々の酵素が関わります。全ての反応に個別に特化した酵素が存在して、解糖系の反応はよどみなく進行してゆきます。

解糖系に限らず生化学反応ってのはそういうものなのさ。気の遠くなるような多段階の化学反応が気の遠くなるような数の酵素によって、まるで当たり前のように進んでいるけれど、その反応の一つ一つを知ると、その調和の見事さと美しさと深遠さに打ちのめされて、立ち竦んでしまうのさ。

ってことの一端を垣間見て欲しいと思って上の動画を作ったの。ちなみに解糖系の反応をまとめると次のようになります。このプリントはグーグルドライブ上で公開します(エクセルシートです)。

でも、さすがにこのレベルは高校生向けではないので、炭素骨格だけ取りだして解説したのが下の動画です。

これでも、結構複雑だけどこれ以上簡単にすると訳わかんなくなるから。
理系の生物学専門課程に進学する人は、ぜひこのレベルの理解はしておきましょう。




2013年1月7日月曜日

生物基礎の授業展開 その8 免疫の仕組み

細菌やウィルスからの侵入に対して、私たちの体にはどの様な防御の仕組みが備わっているのでしょう。

PDFはここです。

1.皮膚と粘膜は強力なバリアです。これが健康であればあるほど、抗原は体内に侵入しにくくなります。お肌のケアは大切なのよ。

2.いわゆる「二度なし」の具体例が挙げられるかな。一度罹った病気には二度罹らない(罹りにくくなる)ことだね。でも免疫のもっと大きないみは、自己と非自己の区別なのです。

3.生物学を深く勉強したい人は自然免疫から獲得免疫が進化してきたと言われている理由について考えてみて下さい。

4.体液性免疫と細胞性免疫は完全に独立したものではありません。とても複雑に相互作用をしています。免疫系の美しさと複雑さを理解するためには、この動画が良いと思いますよ。とても専門的な内容を扱っていますが、知識が無くても楽しめると思います。



5.6.体液性免疫の獲得に関わる様々な細胞の中で、特に重要な働きをしていて研究も進んでいるのがマクロファージとT細胞、B細胞です。これらの細胞に加えて、近年樹状細胞の重要性が解明されてきました。2011年のノーベル賞についてのこのPDFをご覧下さい。
下の動画の授業では樹状細胞に触れていません。


7.免疫記憶が成立したのちに再び同じ抗原が侵入して生じる免疫反応が、二次応答です。反応までが迅速で生産される抗体が大量である特徴を持ちます。

8.9.自己の細胞が発現させない因子を表面に発現させている細胞を標的として、免疫細胞が直接攻撃を加えるのが細胞性免疫です。この仕組みは本来、ウィルス等に感染して非自己タンパク質を細胞表面に発現させた細胞を排除するために進化したものです。その仕組みが、医療の発達した現代では、他人から提供された移植臓器を攻撃する「拒絶反応」として現れてきているのです。

10.11.略


生物基礎の授業展開 その7 心臓・肝臓・腎臓

体液を循環させ状態管理をする臓器としての心臓、肝臓、腎臓の働きを学びましょう。

PFDファイルはここです。


1.略

2.心筋細胞の自律性についてはこちらをどうぞ。理科ねっとわーくの動画です。

3.肺循環の血液と体循環の血液が全く混合することなく別々のルートを通る心臓が二心房二心室のタイプです。脊椎動物の心臓が進化した過程も勉強したいですね。

4.動脈は強い圧力に耐える構造。静脈は筋肉等に圧縮されると血液が一方向に流れる構造。毛細血管は血しょうやリンパ球が浸出できるような構造。それぞれの構造には意味があります。ちなみに血管の長さは約10万㎞。資料はこちら。

5.混乱しやすい所です。酸素濃度が高い方が動脈血、酸素濃度が低い方が静脈血。肺動脈と肺静脈は血管名と血液名が一致しませんよ。

6.リンパ心臓を持たない動物のリンパ液は筋肉などの組織に圧迫される事により、末梢から心臓方向へ流れます。激しく運動した後にいきなり休むのではなく、緩やかな運動をしながらクールダウンする必要性もここにあります。

7.肝臓の働きは「にげたこぶた」で覚えます。に:尿素の合成。げ:解毒作用。た:胆汁の合成。こ:コレステロールの代謝。ぶ:ブドウ糖の代謝。た:体温の発生。解説の動画は下を。


8.上の動画を参考にして下さい。

9.腎臓における尿生成過程で重要な事はマルピーギ小体における「濾過」と腎細管における再吸収です。それぞれがどの様な仕組みでどの様な成分を「濾過」「再吸収」しているのか理解しましょう。参考になる動画はこれです(英語です)。


10.11.略

12.体液が細胞の直接環境であることを、まずしっかり認識することが大事ですよ。その上で、体液と細胞間で物質のやりとりが行われていて、それは体液の浸透圧(濃度)に大きく影響されることを理解しましょう。

13.この動画を参考にして下さい。






2012年10月29日月曜日

生物基礎の授業展開 その6 体液ってなんでしょう

生物基礎の内容としては大きな柱である恒常性の学習が、ここから始まります。

まずは、細胞にとっての直接の環境が体液であることをしっかりと認識しましょう。




解説はあとで加筆します。



2012年9月30日日曜日

生物基礎の授業展開 その5 セントラルドグマ

DNAの塩基配列中に存在する遺伝情報が、タンパク質に置き換えられるまでの流れは、生物共通の原理であり、生命の根幹をなす重要な現象です。

生物基礎の学習指導要領でも取り扱うこととなっていますが、その要点は次の三つです。

① 「転写と翻訳の概要を扱うこと」

② 「タンパク質の生命現象における重要性にも触れる」

③ 「すべての遺伝子が常に発現しているわけではないことにも触れる」

タンパク質の重要性については既に授業展開を示していますのでここでは①と②の展開例を示します。

今回も、生物基礎を学習した生徒が(基礎無し)生物の学習へ進むことを考えて授業を組んでいます。展開案のプリントはPDFで落とせます。

1 遺伝子からタンパク質が合成され(そうではないこともたくさんありますが)そのタンパク質が機能して細胞に個性が生じることが「遺伝子の発現」です。

2 DNA → RNA → タンパク質 の流れが生物共通のものであることをわかってもらいたいですね。

3 DNAとRNAで、単位であるヌクレオチドの構造や立体構造の違いを理解する事は生物基礎のレベルで必修でしょう。発展的にはDNAとRNAの分子進化を学ぶ際の足がかりを、ここで作っておきたいと考えます。そこで、次の点に注意して授業をします。

DNAは非常に安定な物質であり情報の保存役としては好都合であるけれど、安定であるからこそ反応性が低く、化学反応を触媒する酵素的分子としては不都合であること。

RNAはDNAに比べて不安定な物質であり遺伝情報の保存役としては不都合であるけれど、不安定であるからこそ反応性が高く、化学反応を触媒する酵素的分子としては好都合であること。

高校1年生に理解してもらうのは非常に難しい内容ですが、古代人の毛髪から遺伝情報を解析することが可能なこと等で、DNAの安定性を伝えます。一方、RNAにはmRNA、rRNA、tRNAなどのバリエーションの他に、RNA干渉などの酵素的役割を持つ事例を挙げて、RNAが遺伝子発現の調節に酵素(タンパク質)以上に深く関わっていることを伝えたいですね。意欲的な生徒は食いついてきます。

RNA干渉の動画はこれが良いかな?(英語です)





4、5、6、7 は説明をはぶきます。

ですが、転写・スクライシング・翻訳については図や板書だけでなく動画などで具体的なイメージを持たせることが重要だと思います。
ちょっと長いですがこの理化学研究所作の動画はとても使えます。

8 ゲノム計画の著しい進歩などを伝えたいですね。京都大学のヒトゲノムマップがなかなか美しくてよろしいと思います。
とことん突き詰めたい生徒にはこれを紹介します。

9、10 では細胞質が発現する遺伝子の調節をしていることを伝えることに重点を置きます。これをしっかり伝えるかどうかで、発生過程の分化が理解出来るかどうかが決まってくると思います。



2012年9月23日日曜日

センター試験問題解説 H24第5問 植物ホルモン

大学入試センター試験の生物Ⅰでは例年第5問に植物生理が出題されます。
生物Ⅰで重要視される植物生理の項目は

①光合成と環境要因
②植物ホルモン

の二つに大きく分けることが出来ます。

H24第5問ではAで光合成の理解が問われました。



問題Bではオーキシンの作用による屈曲が問題になりました。












センター試験問題解説 H24第4問 動物の恒常性

センター試験の第4問は毎年、動物の恒常性か刺激の受容と行動の問題が出題されます。
H24は浸透圧調節と体液の問題でした。

問題Aでは魚類の浸透圧調節について問われました。

問題Bでは血液凝固と体液性免疫が問われています。




体液性免疫の成立についてのリアル授業はこちらです。



センター試験の問題正解はこちらから。