授業のなかで、DNAの抽出実験をしました。サンプルはブロッコリーです。新鮮なものを使用して下さい。日がたって変色したものや開花しそうなものは上手く行きません。いかにもおいしそうなブロッコリーが最適です。いいものが手に入った時に小分けして冷凍しておくのも有効です。
花芽の部分は細胞分裂が盛んなのでDNAの合成も活発です。レバーや白子を用いる方法もありますが、入手しやすさと実験中のにおいを考えると、ブロッコリーは優れたサンプルです。
花芽の部分を切り取り乳鉢に入れます。
切り取った花芽をしっかりつぶします。
このとき植物細胞の細胞壁を破壊しているのだとの強い意志を持って乳棒を動かしましょう。7~8分、少ししつこいくらいにすり潰します。
つぶしたものを中心に集めます。
抽出液の作り方はPDFファイルのプリントを見てください。
洗剤はリン脂質二重膜である細胞膜と核膜を乳化しDNAを浸出させるために用います。
食塩は、DNAとそれに結合しているタンパク質ヒストンを分離するのに用います。DNAはマイナスに帯電しており、一方ヒストンはプラスに帯電しています。食塩のナトリウムイオン(+)と塩化物イオン(-)がDNAとヒストンの電気的結合を緩めます。
完全に分離できるわけではありませんが、DNAやヒストンの電気的性質を学習するには良い機会になります。
抽出液を入れてから10分放置したものを、ガーゼで濾過します。濾紙だと濾過しにくく時間がかかります。ガーゼで十分です。
60%エタノールを濾液の二倍量加えます。
濾液中のDNAは水分子と水和した状態になっています。先ほども書いたようにDNAはマイナスにチャージしていますので電気的に極性のある水分子のプラス側(水素原子側)と電気的に親和してしまいます。これがすなわち、水に溶けた状態です。
エタノールはDNAと水分子の間にはいり、水溶液中からDNA分子を析出させます。
そのため、ブロッコリーの抽出液にエタノールを加えると長い繊維状のDNA分子が単独で現れます。
化学に強い生徒は、水溶液中のモノマーがエタノールの作用で繊維状ポリマーになったのではと考えるかもしれません。興味深い考察ですが、そうではない事を教師が説明してあげて下さい。
エタノール注入直後です。
エタノール注入後5分ほど経過しました。
この実験班ではDNAが一カ所に集まってきたのが観察できました。
動画もアップしておきます。参考にして下さい。
実験プリント(PDF)へのリンクはここです。
質問があればコメントにどうぞ。
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