光の強さと光合成の活発さをグラフにした「光-光合成曲線(光合成曲線)」は、細胞質レベルで理解するべきと考えての、板書案です。
P0が光合成速度、Pが見かけの光合成速度、Rが呼吸速度です。P0はむかし「真の光合成速度」って言われてましたね。僕はあの言い方好きだったんだけど、教科書から消えてますね。で、
光合成速度 = 見かけの光合成速度 + 呼吸速度
って式だけむりやり憶えておしまい、にはしたくない。せっかく光合成の勉強するんだったら細胞内の活動をリアルに想像して理解して欲しいと思って作る板書が以下の流れになります。
葉の中の細胞の中の葉緑体とミトコンドリアのつもりです。
上が葉緑体です。光合成を行います。
光エネルギーによる水の分解と酸素の放出。
水素の移動と二酸化炭素の還元による炭水化物合成。
下がミトコンドリアです。呼吸を行います。
炭水化物の分解による水素の獲得と二酸化炭素の放出。
水素の移動とATPの合成。
酸素による水素の酸化と水の排出。
光合成や呼吸の詳細を学ばない生徒にもこの程度の事が起こっていることは知ってもらいたくてこの図を示します
(光合成の詳細はこちらを)。
この図を通して、光合成と呼吸の反応が逆反応であることを理解してもらいます。
このような植物が暗黒中に置かれたなら細胞内の二酸化炭素は呼吸によりどんどん増加し、それは植物体外へ放出されます。
ちょっと光が射してきたらどうなるかな?葉緑体の光合成は始まるけどミトコンドリアから出される二酸化炭素で賄える程度の光合成しかしない。残った二酸化炭素は放出させるけど暗黒の時より少なくなってる。
補償点ではミトコンドリアから出てきた二酸化炭素が全部光合成にまわされて、きっちり釣り合いが取れちゃってるので植物外への二酸化炭素放出も外からの吸収もありません。見かけの光合成がゼロになった状態です。
光飽和点では光合成が最大値を迎えます。ミトコンドリアから放出される二酸化炭素で間に合うわけがありませんので植物外から二酸化炭素を吸収します。このとき葉緑体が取り込んでいる二酸化炭素の量が問題なのです。
このときの量的関係を一番最初の光合成曲線のP0・P・Rで示すと次の板書になります。
呼吸はミトコンドリアだけで行われているわけではありませんし、細胞内で生じた二酸化炭素が必ず全て葉緑体に吸収される訳ではありません。
また、葉緑体内のATP合成は省略しています。
などなど、不正確な表現も多々混ざっていますが、今のところ生徒にとってはこの理解が腑に落ちる様な感触です。
この授業をPodCastにしたものはこちらです。