2012年10月29日月曜日

生物基礎の授業展開 その6 体液ってなんでしょう

生物基礎の内容としては大きな柱である恒常性の学習が、ここから始まります。

まずは、細胞にとっての直接の環境が体液であることをしっかりと認識しましょう。




解説はあとで加筆します。



2012年9月30日日曜日

生物基礎の授業展開 その5 セントラルドグマ

DNAの塩基配列中に存在する遺伝情報が、タンパク質に置き換えられるまでの流れは、生物共通の原理であり、生命の根幹をなす重要な現象です。

生物基礎の学習指導要領でも取り扱うこととなっていますが、その要点は次の三つです。

① 「転写と翻訳の概要を扱うこと」

② 「タンパク質の生命現象における重要性にも触れる」

③ 「すべての遺伝子が常に発現しているわけではないことにも触れる」

タンパク質の重要性については既に授業展開を示していますのでここでは①と②の展開例を示します。

今回も、生物基礎を学習した生徒が(基礎無し)生物の学習へ進むことを考えて授業を組んでいます。展開案のプリントはPDFで落とせます。

1 遺伝子からタンパク質が合成され(そうではないこともたくさんありますが)そのタンパク質が機能して細胞に個性が生じることが「遺伝子の発現」です。

2 DNA → RNA → タンパク質 の流れが生物共通のものであることをわかってもらいたいですね。

3 DNAとRNAで、単位であるヌクレオチドの構造や立体構造の違いを理解する事は生物基礎のレベルで必修でしょう。発展的にはDNAとRNAの分子進化を学ぶ際の足がかりを、ここで作っておきたいと考えます。そこで、次の点に注意して授業をします。

DNAは非常に安定な物質であり情報の保存役としては好都合であるけれど、安定であるからこそ反応性が低く、化学反応を触媒する酵素的分子としては不都合であること。

RNAはDNAに比べて不安定な物質であり遺伝情報の保存役としては不都合であるけれど、不安定であるからこそ反応性が高く、化学反応を触媒する酵素的分子としては好都合であること。

高校1年生に理解してもらうのは非常に難しい内容ですが、古代人の毛髪から遺伝情報を解析することが可能なこと等で、DNAの安定性を伝えます。一方、RNAにはmRNA、rRNA、tRNAなどのバリエーションの他に、RNA干渉などの酵素的役割を持つ事例を挙げて、RNAが遺伝子発現の調節に酵素(タンパク質)以上に深く関わっていることを伝えたいですね。意欲的な生徒は食いついてきます。

RNA干渉の動画はこれが良いかな?(英語です)





4、5、6、7 は説明をはぶきます。

ですが、転写・スクライシング・翻訳については図や板書だけでなく動画などで具体的なイメージを持たせることが重要だと思います。
ちょっと長いですがこの理化学研究所作の動画はとても使えます。

8 ゲノム計画の著しい進歩などを伝えたいですね。京都大学のヒトゲノムマップがなかなか美しくてよろしいと思います。
とことん突き詰めたい生徒にはこれを紹介します。

9、10 では細胞質が発現する遺伝子の調節をしていることを伝えることに重点を置きます。これをしっかり伝えるかどうかで、発生過程の分化が理解出来るかどうかが決まってくると思います。



2012年9月23日日曜日

センター試験問題解説 H24第5問 植物ホルモン

大学入試センター試験の生物Ⅰでは例年第5問に植物生理が出題されます。
生物Ⅰで重要視される植物生理の項目は

①光合成と環境要因
②植物ホルモン

の二つに大きく分けることが出来ます。

H24第5問ではAで光合成の理解が問われました。



問題Bではオーキシンの作用による屈曲が問題になりました。












センター試験問題解説 H24第4問 動物の恒常性

センター試験の第4問は毎年、動物の恒常性か刺激の受容と行動の問題が出題されます。
H24は浸透圧調節と体液の問題でした。

問題Aでは魚類の浸透圧調節について問われました。

問題Bでは血液凝固と体液性免疫が問われています。




体液性免疫の成立についてのリアル授業はこちらです。



センター試験の問題正解はこちらから。



2012年9月15日土曜日

センター試験問題解説 H24第1問A 細胞説

平成24年 センター試験生物Ⅰ 第1問Aの解説です。
細胞説の成立とゴルジ体の働き、原核細胞・真核細胞などについて説明します。

動画を見るときは、問題正解を用意して下さい。







2012年9月9日日曜日

センター試験問題解説 H24第1問B 神経細胞

センター試験解説です。

H24第1問で興奮の伝導についての出題がなされました。
第1問は通常細胞と組織に関する問題ですがこの問題では、ニューロンの仕組みや神経伝達物質に関わる知識が問われます。

ま、大学入試なんだから分野横断的問題が当たり前なんだよね。







ゴルジ体の動きに関する動画はこちら。

細胞内輸送の説明で使った動画はこちらです。


センター試験問題解説 H24第2問B 精子の形成

センター試験の解説です。

精子形成の過程で精細胞は大きくその形を変えます。
そんな変化を観察したデータが読み取れるかどうかを問う問題です。

いつもながら、問題を手元に用意してから動画を見て下さい。 問題 正解






2012年9月8日土曜日

センター試験問題解説 H24第2問A 植物の生殖

相も変わらぬ、センター試験解説です。
平成24年 第2問 生殖と発生 植物の生殖です。  問題  正解

有性生殖と無性生殖 重複受精 種皮と果皮 等の解説をします。





重複受精について、こんな授業もあります。



センター試験問題解説 H24第2問C 発生の仕組み

センター試験の解説です。
発生の問題で、調節卵とモザイク卵のちがい、フォークトが行った局所生体染色法とその結果としての原基分布図が理解出来ているかどうかを問う問題です。

問題自体は難易度の低い問題です。
でも、「正解に行き着いたからそれでいいや」ではなく問題周辺の生物学的事象も一緒に勉強しましょう。

問題を手元に用意してから動画を見ましょう。
問題のダウンロードはこちらから出来ます。正解もあります。






発生の過程を解説した授業はこちらです。


2012年9月3日月曜日

センター試験問題解説 H24第3問C 組換え価


センター試験の解説です。
平成24年度の第3問C。組換え価を正しく理解しているかを問う問題です。

問題と正解のダウンロードはこちら。 問題  正解


組換え価の計算から描かれた、遺伝学的染色体地図と、だ腺染色体の観察から描かれた、細胞学的染色体地図の比較を行っています。モーガンたちがどの様な理論から(遺伝学的)染色体地図を描いたのか、理解していることが大切です。





連鎖と組換えに関してはこの動画も参考にして下さい。ブログはこちらです。


2012年9月2日日曜日

センター試験問題解説 H24第3問B 二遺伝子雑種

センター試験の解説です。
平成24年度の第3問B。不完全優性と二遺伝子雑種が絡んでいます。

問題と正解のダウンロードはこちら → 問題 正解

ポイントは
①一遺伝子雑種で考えられる問題は一遺伝子だけ注目しよう。
②16グリッドのフラクタル構造を理解しよう。





16グリッドの使い方になじみの無い方は、この動画から見て下さい。




センター試験問題解説 H24第3問A 伴性遺伝

センター試験の解説です。
平成24年度の第3問A。性決定と伴性遺伝の問題です。

問題はPDFでここからダウンロード出来ます。
正解もあります。





伴性遺伝の遺伝学上の意味については次の動画を参考にして下さい。

2012年8月25日土曜日

平成24年 国体関東ブロックボクシング 

平成24年度 国体関東ブロック予選は東京都日野市で、8月24日から26日まで開催されます。

少年、成年にわかれてLF級からM級の7階級で争われます。
初日の様子です。








各試合の解説を入れる暇がありません。

また、準決勝決勝のブログを書くのも先になりそうです。


手抜きブログで申し訳ありません。




2012年8月23日木曜日

PodCast高校生物 光合成曲線を考える

光合成曲線の細胞学的な意味を考えようとの目論見で作りました。

「光合成速度=見かけの光合成速度+呼吸速度」

の関係を、おぼえて終わり、にするのはよろしくないと思って、葉緑体とミトコンドリアの活動に注目した授業展開にしてあります。



この授業の板書案は以前ブログに書きました。

プレゼンテーションの作成は「パワーポイント」、動画作成は「カムタジアスタジオ」、プレゼン中のカーソルによる描画は「ズームイット」です。

PodCast高校生物 伴性遺伝を考える

受験指導をしていると「伴性遺伝が良くわかんない」「伴性遺伝って具体的なものを憶えればいいの?」というご意見ご質問を、しばしば頂きます。

現行の学習指導要領に準拠した教科書には必ず伴性遺伝の学習内容が盛り込まれています。ですが、なぜ伴性遺伝を学習するのかを明確にしている教科書は(私の知る限り)ありません。

そこで、伴性遺伝が遺伝子の染色体説成立に果たした役割を明確にする様に組んだ授業がこれです。


この授業は教室で行う形ではなく、コンピュータモニタ上でプレゼンテーションをする形式になっています。欧米ではこの形式(PodCastといいます)の教材がたくさん作られています。日本ではまだまだ普及していない形式の教材ですが、ネット社会での教育ツールとしては強力な武器だと思います。

今後、PodCastを増やしていこうと思っています。

ちなみに・・・

この分野の参考書としては、福岡伸一さんの「できそこないの男たち」がダントツに面白いです。そんなに難しくないので、高校生でも読めます。オススメです。

できそこないの男たち

2012年8月19日日曜日

高校生物公開授業 植物の生殖

被子植物の重複受精を勉強している生徒はみな、「なんでこんなわけわかんないこと覚えなきゃいけないの!だいたい植物めんどくさすぎ!」って言います。

全くです。
減数分裂で出来た精子と卵が受精して新個体になる動物と比べると、植物の生殖はあまりにめんどくさい。そのめんどくさいものをそのまま覚えてしまおうとするとすごく苦労する。

でも、植物にだってそれなりの訳があるんです。被子植物が重複受精をする背景には、植物の長い長い進化の歴史があるんです。

それを全て授業するととても時間がかかりますので、要点を絞って授業しています。大事なことは

①植物は世代交代をしている
②私たちが通常目にする被子植物の子は花粉と胚のうだ

ということです。

では、次の動画をご覧下さい。後半の「植物の配偶子形成」はセンター試験の問題演習として授業したものの一部です。



この動画で扱っているセンター試験問題はここでダウンロード出来ます。
平成19年度センター試験生物Ⅰ 問題
平成19年度センター試験生物Ⅰ 正解

センター試験の過去問に挑戦したい人はこのサイトが便利ですよ。
JS日本の学校 大学入試センター試験過去問題

では、がんばってくださいね!

2012年8月17日金曜日

高校生物公開授業 カエルの発生

高校の生物では動物の発生として、ウニとカエル(イモリ)を学びます。なぜこの二つなのでしょう?

動物の基本形はちくわ(パイプ)です。

口から肛門に通じる消化管を食物が通過して行きます。ナマコなんかそのものですね。


ウニもナマコと同じ棘皮動物でこれらは脊椎動物の直系の祖先に当たります。ご先祖さん、です。
彼らには「口→肛門」の方向性はありますが「背→腹」の方向性がありません。そのため形態は、「放射相称」となります。

カエルは脳と脊髄という中枢神経を頭蓋骨と脊椎骨の中に納めた脊椎動物です。

脊椎動物は発生の過程で消化管の他に「神経管」というもう一本のパイプを生じさせ、「口→肛門」の方向性に加え「背→腹」の方向性が生じます。その結果形態は、「左右対称」となります。

そんなカエルの発生過程を勉強しましょう。